着いたのは屋上で、…なんで日野君の隣で呑気にご飯なんて食べてるんだろ‥

沈黙に耐えられなくなった私は弁当を食べる箸を置き、くるっと日野君の方を見た。
茶色のふわふわした髪が風になびいて‥あ、日野君って睫毛長いんだーって見惚れてしまっていた。

「…どうかしたの?」
ボーとしていた私の方をトントンと軽く叩いて覗き込む日野君。

「わ!‥な‥なんでもないんだから///!!」
ご飯を食べながらだったら咳き込んでいただろう。

「ふーん…?」
何気ない動作でまたご飯を食べる日野君に質問するタイミングを逃してしまった。

「あ‥あのね!なんで私と一緒にご飯なんて食べているの??」
少し前のめりになる。

「なんでって‥なんでだろうな‥?」

フッと笑みを浮かべたかと思うと腕を引っ張られ、気づいたら抱きしめられていた。

「ぎゃーー!」
女の子らしくない奇声をあげ、じたばたともがく。

笑いを堪えているのか、かすかに私を抱きしめている体が震える。

「な‥なによ!離してってばっ//!!」
両手で日野君の体を押すものの‥動かない。
さすが男の子!‥って感心してる場合じゃなーーい!!

ただでさえ男の子に免疫のない私はカチーンと音が聞こえそうなほど固まってしまった。

だんだんボーとしてきた頭に日野君が
「な!いいだろ?頼むよ!」
と聞いてきた。

何のことだかわからない私は何だかわからない日野君のお願いにYESと答えることができなかった。

予鈴のチャイムが鳴っても離してくれない日野君が私の耳元で
「…嫌って言うなら美佑を離さないから…‥」
さらに抱きしめる力が強くなる。

ビクゥとなる体が本心では日野君に抱きしめられるのが嫌じゃないと感じてしまう。…私はインランじゃないもん//!きっと気のせいなんだから!!

だんだん恥ずかしくなって‥その場を離れたくなった。

「わ‥わかったから離して~っ//」

私からOKを貰った日野君はご機嫌な様子で
「ありがとな!んじゃ、約束だかんな!!」
と言って私の傍を離れた。

…約束??
やばい‥もしかしてトンデモナイ約束じゃないよね!??


その後、本鈴のチャイムで慌てて戻ることになったのは言うまででもない‥。