俺、日野藍はうんざりしていた。
香水の臭い匂いが鼻にツーンときて頭がガンガンする。

キャーキャーと騒ぐ女達。

今日は運が悪く女達に囲まれてしまった。
いつもそばにいる親友の辰巳‥和田辰巳(わだたつみ)さえいてくれればさりげなくこの場から離れることができただろう‥。今日は辰巳は風邪にて欠席‥。

…ということは…?
俺、この場離れる手段ねーじゃん!!

ぐるぐると考え事をしていると周りから
「日野君ってかっこかわいいよねー」
とか
「日野君って部活は入らないの~?」
とか‥ちょ、お前らうるせーんだよ‥いい加減にしろ!


ふわふわとした茶髪に二重の大きい目、178の身長、耳にピアスをつけた俺は中性的といえばいい感じに聞こえるがただ可愛い系ってだけの気がする。‥だから俺はこの顔があんまり好きじゃない。‥名前も合わせてナヨナヨしく見られそーだし!!


「ねー日野君?話聞いてる~?」
顔を覗き込まれてビクッとなる。‥やべー聞いてなかった。

聞いてないって言ったら尚更うるさくなるし、どうしようかあたりを見回すとショートの髪の女子が通りかかったのを見つけて声をかけたんだ‥。

最初はただただこの場から離れるための口実に付き合ってもらおうと思っただけだったのに…