いつの間にか日野君が私の前に立っていて‥心配そうな顔をしている。

あれ?なんで日野君がここにいるの??

ボンヤリと日野君を見ていたら不意に目があった。
ドキッ

日野君は大きな手のひらでソッと私の目から流れている涙に触れる。

「大丈夫か?なんか辛いことがあったらなんでも俺に言えよな‥」
涙を手のひらで拭われる。

「…‥?わ‥たし泣いてなんかいないよ?大丈夫だよ??」
泣いていることなんて自分でも気づいていなかった。
日野君の手のひらで涙は拭われているのだから泣いていたことなんてわかりきっていただろう‥けれど日野君は…‥
「そっか…悲しくなったら俺のとこにおいで?俺は野沢の傍にいつでもいるから‥。」



『泣きたいときは泣いていいんだ――・・僕が・・・僕がみゅーの涙を隠してあげる』


『僕がずっと・・ず~っとみゅーのそばにいる!!だって・・・だって僕、みゅーがだいすきなんだもの・・・・みゅーもずっと僕のそばにいて?』



…‥あぁ‥この人、優太に似てるんだ。
だからか…。


私は今も優太が好き。
他の人を好きって言っているときも優太が好きで‥大好きで…。
だけど周りは許してくれなかった。

…‥…なにより私は優太を…優太を傷つけてしまった。‥心も…身体も。

私は逃げた。現実から目をそらせないまま現実を受け止められなくて‥…。

私は自分が憎くて‥憎くて仕方なかった。


せきを切るように涙が溢れた。
涙を止めようにも止まらなくて‥。


日野君から急に抱きしめられた。
私は日野君を両手で突き離した。

「泣いている私を見て同情でもしたわけ!??それともなに?弱っている私に付け入ろうとでもした??」
見下した目で日野君を見る。