産まれる。




俺は赤ん坊の泣き声がする

分娩室へ向かった。






警察は、嫁が退院してから

逮捕すると言っていた。



すると、俺は


赤ん坊と二人で暮らすのか?
あの赤ん坊と・・・



考えたくもない、人が一人殺されてるんだぞ。

しかも俺の嫁が、俺の同僚を。



ある意味絶望的だ。



彼女を理解してやれなかった俺、

ちゃんとバイトの説明を、してやればよかった・・・




いや、説明はした。



彼女が俺を、理解しなかったんだ。



俺は悪くない、彼女が悪い。



俺は浮気なんてしていない、何度もそう言ったじゃないか。




俺は、俺は無実だ。




・・・でも彼女は警察の取調べで
俺のことを話すかもしれない。



そうしたら俺はどうなるんだ?



いやいや・・・俺は大丈夫だ。

だって、それは彼女の思い込みなのだから。





すべて、彼女が悪い



誰も俺を攻めたりしないはずだ。




子供にはなんて説明する?



母親は人殺しだ、なんて言えない。


大丈夫・・・ただの赤ん坊だ。


理解するはずもないだろう、障害もあるわけだしな。





俺は悪くない、俺は・・・・俺は・・・・・




















「男の子ですよ」


看護婦さんの腕に抱かれた赤ん坊を見て



俺は



いろいろな感情が込み上げて来て


その場にへたり込み、涙を流した。




赤ん坊は





俺を






一生許さないのだと








理解した。









「パパ、うれしくて言葉にならないのね・・・・」

嫁がつぶやいた。











赤ん坊には






両腕が

















無かったのだから。










「パパ、この子




アナタみたいには







ならないのよ」