「ただいま…。」

清子をまず、出迎えてくれるのは、金魚の『アユアユ』と『まいまい』だ。
2匹は、出目金で、夏祭りで、その人がとってくれた。
清子の2つ目の記憶。
その人。
その人は、清子が初めて、『好き』を注いだ人だ。そして、その人も清子に『好き』を注いだ。
愛するんじゃない。好きになるのだ。
ただただ、好きになる。
それは、あの頃の2人にとって、『愛する』より、難しかった。