「清子ちゃん。帰ろう」
はっ、と我に返った。下校時間を余裕で過ぎている。
「また、夢だ。」
「清子ちゃん、早く!」

清子の友達、実希子(みきこ)に急かされて、清子は、慌ただしく教室をあとにした。

「また、あの夢?」
「うん。」
「そう。」

幼い頃の記憶が、夢で出てくる。
ちょうど10年前。砂浜の上で泣いていた清子は15になった。
実希子ちゃんは、小学校で会った。2人の友情は、壊れることなく、今に至る。
実希子ちゃんは、私が見る『夢』の事を知っている。