純恋旅行記~哀しみの砂浜~

「待たなくてもいいんだよ?」

別れ際、その人が言った。中学2年生の夏。

「じゃあ、私も一緒に行くわ。」
それはダメ、とその人が言った。

「どうして?」
「清子さんを巻き込みたくない。」
胸が締め付けられた。熱い感情が涙となって現れた。

「私、一緒に行きたい。」
わがままだ。そう思った。わがままだけど、本音。わがままって本音だから、わがままなんだ。本当の事じゃなきゃ、わがままじゃない。

「清子さんは、此処に居なきゃダメだ。」
「何でよ!」

怒鳴った。初めて、怒鳴った。
そして、直ぐに後悔した。怒鳴った事を。