「おっ、重いならわざわざ運ばなくたっていいじゃん…!」
あたしがふいっとそっぽを向いて言うと、透也が笑うのがわかった。
「冗談だって。風邪引いたらこま…」
「あっ、そうだ!」
透也の言い訳なんて聞かずに、あたしの頭の中はあの事でいっぱいになっていた。
「…んだよ、人が話してる最中に……」
あたしは部屋のテーブルに置いた紙袋を手に取る。そして中から、買ってもらったテディベアのペアストラップを取り出した。
赤いリボンのテディベアと青いリボンのテディベア。
ゆっくりと腕をほどいて、マジックペンをペンケースから出す。
「おい…華、なにする気だよ…」
あたしは、赤いリボンのテディベアのリボンに"Hana"と書いた。
そして青いリボンのテディベアのリボンに"Toya"と書いた。



