そう言ったあとに一呼吸おいて真瞬君は続ける。

「中途半端な時期にこんなこと言ってごめん。
自分勝手ってわかってるけど…。」

「真瞬君。」

瀬名の声に真瞬君は思わず顔を上げた。

みんなが一斉に瀬名を見る。
もちろん、あたしもだ。

「みんなが俺のためにデビューしてくれた。   みんなが俺を舞台から救ってくれた。
俺はそれだけで幸せだよ。」

みんなで今まで通り、音楽やろうよ。

瀬名はそう言っていつもみたいに笑った。

「ま、実際デビューしたくて音楽やってたわけじゃねぇし。
俺は真瞬君に委ねるよ。」

翡波もそんな感じでまったく咎めない。

「オレの歌を聴いて元気になってくれた人がいるだけで十分だよ、マッシュ。
な!郁月!!」

「まあ。
真瞬がそう決めたならいいと思う。」