観光客かな?
日本人のカップルとすれ違った。
女の子の手には折り畳み傘。
少しも似ていないのに彼女を思い出した。
綺麗な黒髪で、まだ少しあどけなさが残る彼女。
こっちに来る時、日本に葵と車を置いてきた。
「あと、ダッサイ手紙もか」
死ぬつもりで書いた手紙。
最後の手紙。
手術が成功した時、もしかしたら龍馬か悠希を通して連絡が来るかもしれないと期待した。
連絡が来なかったのは俺のせい。
矛盾だらけの俺がそれを望んだから。
彼女が連絡をしなかったのは、俺の気持ちが伝わったことを証明していた。
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