† Lの呪縛 †

「信じ難いが、お前は人ならざるものだろう? そんなお前がオリヴィアを手に入れて何をする」

「……もう一度、あの子を眠らせる事が出来ないか試みる。 それが出来なければ、この手であの子を葬る」

「お前がオリヴィアを眠らせ、棺の中へ入れたというのか?」



男性はダグラスの言葉に答えず、自分の掌を見つめた。


今まで感情を露わにしなかったその瞳に、ほんの少し熱が宿る。



「あの子を殺す事など出来ない。 あの子の体は人とは違うのだから」

「そうだな。 人ではあの子を葬る事は出来ないだろう。 だが私なら可能だ」

「何故そう言いきれる」

「先程お前が言ったではないか。 私は人ならざるものだと。 その通り……私は悪魔であり、お前たち人間とは出来が違う」

「悪魔、か……。 本当はあの子の魂を喰らいたいのではないのか」



悪魔はダグラスを冷めた目で見下ろした。


二人は睨み合い、動かない。



「くだらない。 私はあの子の味方であり、あの子の幸せを願っている。 この世界で生きる事が出来ないのであれば、眠らせてやるか葬ってやるか……それが幸せだ」

「それはお前のエゴだろう。 オリヴィアはそうは思っていないかもしれない。 私はあの子の気持ちを一番に考えてあげたい。 あの子が自分自身で幸せを掴み取れる様、手を貸し支えたい。 お前もあの子の幸せを心から願っているなら、あの子の気持ちを尊重しろ」