† Lの呪縛 †

男性は首を捻り、ダグラスに視線を向けた。


薄い唇が微かに開く。



「殺した? いつの話だ。 殺す相手の名前など一々知らない……知る必要が……」

「三年前の事だッ!!」



ダグラスは怒りを露わにし、男の声を遮った。


全身を震わせ、目を釣り上げている。



「棺に入ったオリヴィアを保護していた夫妻の事だッ!!」



男性は視線を上げ、顎に手を当てた。


唇の上で指をトンットンッと動かしている。


暫くすると指の動きを止め、体を後ろへ少し捻った。



「あの屋敷では酷い仕打ちを受けた。 あと一歩でオリヴィアの元へ行けたというのに、呪符や陣に邪魔をされた。 おかげでオリヴィアの元へ辿り着くのがこんなに遅くなってしまった」

「酷い仕打ちを受けただと!? お前は夫妻に何をしたのか分かってるのか!?」

「頑なに口を割ろうとしなかった奴等が悪い」



ダグラスは男性の胸を掴み上げ、睨み付けた。


それでも男性の表情は変わらない。



「離してくれ」

「お前は一体何者だ」

「何故そんな事を知りたがる? 知らなくともいい事だろう?」

「ずっと探していた!! お前を!! クレアの両親を殺した犯人をッ!!」