† Lの呪縛 †

オリヴィアは突然感情的になったノエルに驚いたが、少し嬉しかった。


いつも優しいノエルだが、実は自分の事を鬱陶しく思っているのではないかと思っていたからだ。



「結婚なんてしないよ」

「え?」

「その前に出来ないでしょう? だって私は他の人とは違うもの」



オリヴィアの悟りを含む瞳に、ノエルの胸に切ない思いが広がった。


自分が傍にいると言ったところで、オリヴィアにとってそれは慰めとしか思えないだろう。


だが他になんて言っていいものか分からなかった。


それにこのままいけば、僕はオリヴィアよりも先に死んでしまう。


好きな者と一緒になれないわけではないが、愛する者と死を分かち合えない事程辛い事はない。


死ねない体ならば、オリヴィアは一体どれ程の死を見送らなければならないのだろうか。


その度にオリヴィアの心は死んでいく……ノエルはそんな気がした。



「エリオット叔父様がちゃんと調べてくれるよ」

「結果が分かったら教えてほしい」

「あぁ、そうだね。 お父様とお母様に言っておくよ」



調べて進展がないだけならまだしも、いい結果がでなかったらと思うと、今更ながらノエルは気が気ではなかった。