† Lの呪縛 †

オリヴィアは午前中のお稽古の後、昼食を済ませ自室でお茶を飲んでいると、ドアをノックされ返事をした。


ドアを開け入ってきたのはノエルだった。



「エリオット叔父様が来たよ」



オリヴィアは緊張した面持ちで微笑み、椅子から腰を上げた。


家族が傍にいてくれる事には安心しているが、全く不安がないと言えば嘘になる。


ノエルは微かに震えるオリヴィアの手を握った。



「大丈夫だよ」

「うん、ありがとう」



手を繋いだまま二人は部屋を後にし、エリオットの待つ客間へ向かった。



「ねぇ、オリヴィア。 本当にダレル子爵のご子息の事は何とも思っていないの?」

「思ってないよ。 早く誰かと結婚して欲しいの? 私が邪魔?」

「邪魔なわけがないだろう!!」



ノエルは悲しく微笑むオリヴィアの横顔に、間髪を入れず否定した。


結婚して欲しいだなんて思っているわけがない。


邪魔だなんて思っているわけがない。


―僕の妻としてずっと傍にいて欲しい!!―


ノエルは今にも心の声を漏らしてしまいそうだった。