他愛もない会話をしながらテラスに出ると、そこには先客が居た。


椅子に腰掛けている貴婦人は、柔らかな風に前髪を揺らしながらティーカップを唇から離し、二人へと視線を向けた。



「あら、二人も今からティータイムかしら?」

「はい、ご一緒しても?」

「勿論よ」



ノエルとオリヴィアが貴婦人の居るテーブルへ歩み寄ると、メイドが椅子を引いた。


座りやすい様に引かれた椅子の前に二人が立つと、また座りやすい様にとタイミングを測ってメイドが椅子を少し押し入れた。


そうしてもらう事にオリヴィアは未だ慣れておらず、内心戸惑っていた。


紅茶の入ったティーカップをセッティングすると、メイドたちは頭を下げ静かに下がっていった。



「本当に二人は仲が良いわね」

「なんだかオリヴィアは、危なっかしくて放っておけないんだ」

「気持ちは分かるけれど、かまいすぎるとオリヴィアに嫌われてしまうわよ? ねぇ? オリヴィア」



貴婦人に話をふられ、何と答えていいのか分からず、オリヴィアはまたもや曖昧に微笑んだ。


オリヴィアは二人の話を聞いているだけでいいのだが、いつもこうして話の輪にいれようと皆が話をふってくる。