† Lの呪縛 †

男性は軽やかに木を降り、オリヴィアに手を差し伸べた。


オリヴィアは男性を見上げ、手を取る事を躊躇した。


警戒しているわけではない。


だが、人と触れ合うことに慣れていないオリヴィアは戸惑った。


どう声をかけていいかも分からない。



「早く」

「でも……」

「面倒臭い奴だな」

「っ……!?」



中々手を取ろうとしないオリヴィアに痺れを切らし、男性はオリヴィアの手を強引に取り引き上げた。


オリヴィアは軽々と引き寄せられ、男性の直ぐそばに立つと全身を強張らせた。



「不思議な瞳だな」

「え……?」



オリヴィアは男性の秀麗な笑みに思わず見惚れた。


表情が変わらない時はとても冷たそうな印象だが、笑うと人を寄せ付ける様な魅力を感じる。



「こんなところにいたのね!!」



キティの高い声にハッとなり、オリヴィアは咄嗟に手を引っ込めた。


フワッといい香りがしたと思ったら、キティが勢いよく男性に抱き付いた。



「どうしてここにいるの!? 会いたかったわ!!」

「俺もだよ」



キティと男性が抱き合っている姿をオリヴィアが呆然と立ち尽くし見ていると、すぐ隣に気配を感じ横を向いた。