† Lの呪縛 †

温室に着いたオリヴィアは、美しい草木、花に目を輝かせた。


隅々まで行き届いた手入れ。


美しいだけではなく、迫力もある。



「どう? 気に入ってもらえたなら嬉しい」

「凄く……気に入ったわ。 こんなに素敵な温室、今まで見た事ない」



普通の家では温室なんてものは建てられない。


オリヴィアは村で暮らしていた時には、こんなに素晴らしいものがある事すら知らなかった。



「このお花はね……」



感激しているオリヴィアに、進んで植物の説明をしているキティ。


オリヴィアは目を閉じ、植物の香りや存在を全身で味わっている。


心が洗われる様だった。


耳には微かに小鳥の囀りが聞こえ、ゆっくり目を開け入口へと視線を向けた。


一人熱弁しているキティを残し、オリヴィアは静かに温室を後にした。


小鳥の鳴き声に誘われるがまま足を進めていく。


温室の裏側にたどり着くと、一層鳴き声が大きくなり、鳴き声のする方へ顔を向けた。


オリヴィアの背よりも遥かに大きな木の枝に鳥の巣があり、雛鳥が数匹くちばしを必死に広げ、鳴き声をあげている。


親鳥を待っているのかと思うと、胸に切なさが広がった。