† Lの呪縛 †

このままでは結婚どころか、普通の生活すら危うい。


心臓を撃ち抜かれたオリヴィアは、何事もなかったかの様に息を吹き返した。


信じられない事だが、オリヴィアは死なない……いや、死ねない体なのだ。


オリヴィアは養子に迎えた時よりも女性らしく成長したが、このまま順調に成長していくのだろうか?


そもそも、数百年の時を経て目覚めたオリヴィアに、人と同じ様に寿命というものが存在するのかもわからない。


寿命が存在するのであれば、とっくの昔に死んでいるのではないだろうか。


疑問ばかりが増えていく。


どうにか普通の人と同じ様に、自然に逆らわずに生き、命を終える体にしてあげたい……そう思ってはいるが、解決の糸口は未だ一つも見つかっていない。



「お母様、オリヴィアと温室に行ってくるわね」

「えぇ、いってらっしゃい。 ただし……」

「分かってる!! メイドも一緒に連れて行くわ」



オリヴィアはクレアに視線を向けた。


クレアは優しく微笑み、静かに小さく頷いた。



「ここの温室はとても素晴らしいの。 楽しんでらっしゃい」

「うん、いってきます」



オリヴィアは口角を上げ満面の笑みを浮かべると、キティと一緒にテラスを出ていった。


軽やかな足取りで出ていったオリヴィアの姿に、思わず口から笑いが漏れた。