† Lの呪縛 †

深緑のドレスを着た貴婦人、シンシア・ホプキンス伯爵夫人が深いため息を漏らした。


誰よりも可愛くてしかたがない愛娘ではあるが、歳のわりに落ち着きがないところは、どうしたものかといつも頭を悩まされる。



「シンシア、遅くなってごめんなさい」

「いいのよ、気にしないで頂戴。 それよりも、キティがごめんなさいね」

「ふふっ、相変わらず元気が良くて、可愛らしいわね」



クレアはシンシアの隣に腰掛け、オリヴィアとキティの様子を優しい眼差しで見つめている。


オリヴィアの新しい一面を見るたびに、喜びを感じる。


普通の人とは少し違うオリヴィア。


戸惑う事はあるが、気持ち悪いと思う事はない。


それは心の優しい子だという事を知っているからかもしれない。


どんな事をしてでも、守ってあげたいと思う。



「オリヴィア」



クレアは、キティにワイワイ話しかけられ、一生懸命それに応えようとしているオリヴィアに声を掛けた。



「紹介するわね。 こちらは私の昔からの友人でシンシアよ」

「初めまして、オリヴィア。 会えて嬉しいわ」

「あのっ、ご挨拶が遅くなってごめんなさい。 オリヴィアです。 宜しくお願いします」



キティのペースにハマってしまっていたオリヴィアは、シンシアに挨拶するのをスッカリ忘れていて、挨拶をするなり慌てて頭を下げた。