† Lの呪縛 †

オリヴィアを抱き上げたまま、離そうとしないノエル。


恥ずかしくておろして欲しかったが、ノエルの嬉しそうな顔を見ていると、そんな事を言えるはずもなかった。


ソローっとクレアに視線を向けると、オリヴィアが何を言わんとしているのか察したクレアは、態とらしく咳払いをした。


だがノエルは聞こえていないのか、フリをしているのか、オリヴィアをみつめたままずっと嬉しそうに笑っている。



「ノエル」

「…………」

「ノエル!!」



二度目のクレアの呼びかけに、肩を揺るがせ驚いたノエル。


本当に何も聞こえていなかったのかと、クレアは呆れて肩を落とした。



「可愛いオリヴィアをずっと抱きしめていたい気持ちは分かるけど、そろそろ離しておあげなさい」



ノエルがオリヴィアの顔を見上げると、眉を下げ、困った様に笑うオリヴィアと目が合った。


慌ててオリヴィアを下ろし、ドレスを綺麗に整えた。



「ごめん、オリヴィア。 あまりにも綺麗でつい……」

「い、いいの!! 気にしないで……ありがとう」



ノエルの口から漏れる甘い言葉にまだ免疫がつかないオリヴィアは、言葉を遮った。


だけどそう言ってくれる事に関しては嬉しさを感じている事も確かなので、素直にお礼の気持ちを言葉にした。