† Ｌの呪縛 †

切羽詰まった様子で考え込む息子の姿に、ため息が漏れた。


ノエルの気持ちが分からないわけではない。


だがここで私情を挟んでいる暇などなかった。



「心配ならば、お前も一緒について行くといい」

「だけど……」

「ノエル、一番に考えてあげるべきなのはオリヴィアの心情じゃないのか？」



ノエルは下唇を噛み、グッと押し黙った。


揺れる瞳は動揺、不安を露わにしている。


ダグラスはそっと歩み寄り、ノエルの肩に手を置いた。



「オリヴィアもお前と同じ気持ちならば反対はしない。 だが、クレアの前では良き兄を演じろ。 それが出来ないのであれば、無理矢理にでも、お前に妻を娶らせる」



ノエルは子供の頃に戻ったかの様に、弱々しく父親にすがる様な瞳を向けた。


だがダグラスは一切甘さを見せない。



「クレアはお前の事を愛している。 オリヴィアの事も同じ様に愛している。 子供の出来ない体になり、更に不幸に襲われ悲しみに打ちひしがれていた。 そんな時に我が家にやってきたオリヴィアを、本当の娘の様に愛でている事はお前にもよく分かっているはずだ」

「……それはよく分かってるよ。 お母様はオリヴィアが来てから明るさを取り戻した。 お母様には暴露ないようにする。 約束する。 だからオリヴィアの傍にいさせてほしい」