† Lの呪縛 †

「ノエルの言う通り、このままではゆっくり話が出来ない。 大丈夫、お父様は何処へも行かないよ」



自分に言い聞かせるように、態と自分で自分の事をお父様と言った。


己の中の危うさを必死に抑えこんでいる。



「でも……」



寂しそうな顔をするオリヴィアのおでこにそっと唇を落とした。


ノエルは今にもダグラスとオリヴィアの体を引き離してしまいたかった。


醜い嫉妬、独占欲……全ての負の感情に呑み込まれてしまいそうだった。



「不安な時はいつでもお父様の胸の中においで。 どんな時でもオリヴィアならば大歓迎だ」



オリヴィアは俯き視線を落とすと、目を泳がせた。


ダグラスは頬をピンク色に染めているオリヴィアを見て、顔を綻ばせた。


いくら妖艶でドキッとする様な仕草や表情をしようと、オリヴィアはまだまだ子供なのだと思い、少なからず安心した。


とうとう我慢の限界がきたノエルは、ベッドに腰掛けると、オリヴィアの手を握り強引に体を引き寄せた。


バランスを崩し倒れそうになったオリヴィアの体を後ろから抱きしめ、苦しくない程度に腕に力を込めた。



「ノ、ノエルお兄様!?」

「お前の温もりでもっと僕を安心させておくれ」

「っは、はい……」



耳にかかるノエルの吐息に、余計に頬をピンク色に染めるオリヴィア。


ノエルにはオリヴィアの顔は見えないが、耳が少しピンク色に染まっているのを見て、先ほどまでの負の感情が鎮まっていった。