† Lの呪縛 †

真夜中のバルコニーに汚らしい男と目を見張る程の美少女。


男はいやらしい眼つきでオリヴィアを見下ろしたまま、ジリジリと距離を縮めている。


オリヴィアは目を見開いたまま、男から目をそらせなかった。


何をされるか分からない恐怖。


良くない事が自分の身に起ころうとしている……男との距離が近付くにつれ、その考えが確信に近付く。



「いいか、大声を出したら喉を潰す。 分かったかい? お嬢ちゃん」

「っ……」



オリヴィアはただ怯え、震えていた。


揺れ動く瞳は男の手に握られた拳銃にむけられている。


男の手がオリヴィアの顎をグッと掴み上げた。


その瞬間オリヴィアの中の恐怖は最高潮に達し、男の腕を払いのけ弾き飛ぶ様に男の脇を潜り抜けた。



「待ちやがれッ!!!!」



オリヴィアの心臓は今にも飛びたしそうな程どくどく動き、足は縺れ、ドアまでの距離がとても遠く感じた。


男は顔を真っ赤にし、オリヴィアの背中に銃口を向けた。


あと少しでドアノブに手が届きそうな所で、ドアが勢いよく開いた。



「オリヴィアッッ!!!!!」



部屋に飛び込んできたノエルは即座に男の存在に気付き、迷わず銃を向け引き金を引いた。


部屋に二つの銃声が鳴り響き、ほぼ同時にオリヴィアと男が崩れるように床に倒れ込んだ。


ノエルは急いでオリヴィアの体を抱き起こした。



「オリヴィアッッ!!」



オリヴィアの胸元は赤く染まり、ノエルの腕の中で目を閉じた。