† Lの呪縛 †

ードンドンドンドンッッ!!!!


ドアを叩く大きな音で、ダグラスとクレアが目を覚ました。


起き上がろうとした時、険しい顔をした執事長が部屋に飛び込んで来た。



「旦那様!! 野盗でございます!!」



執事長の言葉に二人の眠気は一気に吹き飛んだ。


ダグラスは慣れた手付きで枕下から拳銃を取り出すと、ベッドから降り靴を履いた。



「状況は?」

「相手はナイフや剣などの武器を所持しており、中には拳銃を所持している者もおります。 既に数人仕留めておりますが、目的についてなどの詳細については、分かりかねる状況でございます」

「オリヴィアの所へ行ってくる。 クレア、お前はワーグマンと共にここにいなさい。 ワーグマン、妻を頼む」

「承知致しました。 必ずお守り致します」



執事長のワーグマンはダグラスへの揺るぎない忠誠心を瞳に宿し、迷う事なく答えた。


ダグラスは執事長のワーグマンへ、絶大的な信頼を寄せている。



「ダグラス!!」



部屋を出ようとした時、クレアに呼び止められたダグラスは振り返りクレアを見た。



「お気を付けて……」

「あぁ」



ダグラスは微笑み寝室を後にした。


野盗が現れても直ぐに応戦出来る体制をとり、慣れ親しんだ廊下を走った。


薄暗く視界は悪く、いつ野盗が襲って来てもおかしくない状況だ。


だがダグラスの頭の中は今の自分の状況よりも、オリヴィアの事で頭が一杯だった。


ただただオリヴィアの無事を祈っていた。