† Lの呪縛 †

ヒューイは片目をパチっと瞑ると、躊躇する事なく腰を浮かし飛び降りた。


オリヴィアは目を見開き、瞬時に顔を青くした。


慌ててヒューイの飛び降りた先を覗き込んだ。


暗闇の中目を凝らし急いでヒューイの姿を探すが、何処にも見当たらない。


安堵のあまりオリヴィアはその場にへたり込み、胸に手を当てホッと胸を撫で下ろした。


ー良かった……無事に降りられたみたい。ー


二階からとはいえ、飛び降りるには結構な高さがある。


下手をすれば酷い怪我をするかもしれない。


オリヴィアはバクバクしている胸を押さえた。


そして目を閉じキュッと結んだ唇を綻ばせた。


ーヒューイ……ここに来て初めての友達。 不思議な人だったけど、とっても気さくで優しそうな人だった。 また、近い内に会えるといいな。ー


ーカチャ……。


背後から微かに音がして、オリヴィアは首を捻り、肩越しに後ろを見た。



「こりゃあー上玉じゃねぇか」



小汚い小太りな男がニタニタと気味の悪い笑みを浮かべながら、オリヴィアを見下ろしていた。


その手には拳銃が握られている。



「大人しくしてりゃあ痛い事はしねぇよ。 さぁ、お嬢ちゃん、いい子だからこっちに来な」



オリヴィアは恐怖のあまり、声を出す事も、その場を動く事も出来なかった。