† Lの呪縛 †

風が吹き、オリヴィアの髪の毛が靡(なび)く。


無数に散らばる星の中に欠けた月が一つ。


静寂に包まれた闇に輝くそれらはとても綺麗だった。



「綺麗だね」

「そうだろ? 人々はこんな夜空を見られる事を幸運に思うべきだよ」



この壮大な夜景は、まるで自分のものだという様な口ぶりのヒューイ。


オリヴィアはヒューイに笑顔を向けた。


憧れにも似た眼差しで、ヒューイは夜空をキラキラした瞳で見つめている。


オリヴィアは手すりに手をおき、首を傾け上を向いた。



「どうして、星が好きなの?」

「さぁね……ただ、純粋に美しいと思うんだ。 みんなからは変わり者だと思われてる」

「変わり者? 星が好きなだけなのに?」

「僕の住んでるところは少し特殊でね。 美しい君には似合わない様な場所さ」



目を細め、笑みを零すヒューイこそ美しかった。


何処か儚くつかみどころのない雰囲気を持っている。



「そろそろ行くよ」

「もう、行っちゃうの?」

「兄さんに怒られちゃうからさっ。 また直ぐ会いにくるよ。 だからそんな顔しないで」

「……分かった。 約束だよ?」

「あぁ、おやすみ、オリー」

「おやすみ、ヒューイ」