† Lの呪縛 †

時間が経つにつれ、泣き声や怒声は止んでいった。


色んな感情が渦巻いていた牢の中は一つの感情になりつつある。


困惑、悲しみ、怒り、不安……最後にたどり着くは絶望。


オリヴィアは膝を抱き、顔を埋めた。


どれほど手に、腕に、身体に力を込めようとも治らない震え。


ライラは躊躇いながらもそんなオリヴィアの側へ寄り添い、肩を抱き寄せた。



「きっと大丈夫」

「…………」

「こんなにたくさんの人が居なくなったんだもの。 きっと今頃誰かが気付いて私たちを探してくれてる」



オリヴィアはゆっくりと顔を上げ、今にも泣き出しそうな顔のまま微かに笑みをこぼした。


つられるようにライラも笑みをこぼしたが、その顔もまた泣いてしまいそうに瞳を震わせている。



「私の家族が気付いて騒いだところで取り合ってもらえなかっただろうけど、オリヴィアの家族が気付いてくれたなら、この船の責任者も耳を貸すと思う」

「どういう事……?」

「オリヴィアは貴族でしょ?」

「えっと、あ、うん……そ、うだけど、それが関係あるの?」

「私たちみたいな身分の低い人間が騒いだところで大きな問題にはならないけど、貴族の様に身分が高い方が騒いだら問題になるでしょ? 今後の評判にも関わるだろうし、船の人たちも対応しないわけにはいかないから、問題になる前に居なくなった人たちを探すはずよ」