薄暗く、空気が淀んでいるその場所には、沢山の積荷が敷き詰められている。


小さな木箱から大きな木箱まで、大きさや形は様々だ。


積み上げられた木箱の隙間からかろうじて見えるのは、黒く頑丈そうな鉄格子。


その牢屋の様な鉄格子の奥には、子供や女性、男性__老若男女問わず詰め込まれている。



「ん__ッッ」



オリヴィアの口が微かに開き、頬が鉄の床に押し付けられる。


必死に目を開けようとするが、中々いうことをきかない。


気分も悪く、頭も痛む。



「だ、大丈夫__!?」



声のする方へ目を向けるが、霞んでよく見えない。


そう思っていると、突然目の前に顔が現れ、オリヴィアはビクッと身体を震わせた。



「ご、ごめんなさい! 貴女だけずっと目を覚まさないから心配で……もしかしたらって__っ」



謝る少女の顔は心配顔のまま涙を流した。


なんとか身体を起こそうとしたオリヴィアは違和感を感じた。


自由がきかない。


目の前で涙を流す少女の手首を見て顔が青ざめていく。



「みんな、手足に枷を付けられてるの」



少女は肩を持ち上げ涙をぬぐった。


そう言われて漸く子供の泣き声が聞こえた。


子供だけではなく、大人も泣いている。


怒っている人もいる。


神に祈りを捧げる人もいる。


少女の手を借り、オリヴィアも身体を起こしその場に座った。



「私はライラよ。 貴女のお名前は?」

「っ、わ、たしは……オリヴィア」



一体なにが起こっているのか状況が全く理解できなかった。


なぜこんなにも人が集められているのか。


なぜ自分がその中の一人になってしまっているのか、見当がつかなかった。