† Lの呪縛 †

二人が談笑していると、流れている音楽が変わった。


ノエルは膝を折り、流れるような動きで手を差し伸べた。



「私と一曲踊って頂けませんか?」



一瞬驚いた顔をしたオリヴィアだが直ぐに笑顔を取り戻し、お皿をテーブルに置くとノエルの手に自分の手を重ねた。



「喜んで」



二人は音楽に合わせ会場の中心へと足を進めた。


以前はぎこちなかったオリヴィアの足取りだが、今は息をするのと同じくらい自然で軽やかだ。



「もうダンスもばっちりだね」

「相手がノエルお兄様だから緊張しないし、何も考えなくても体が動くのかもしれないわ」

「踊ってる時くらい僕の事を考えてほしいな」



拗ねた顔をするノエルを窘める様にオリヴィアは笑顔を向けた。


ノエルが本気で気分を害していないことはちゃんと分かっている。


二人は他愛もない話をしながらダンスを楽しんだ。


そんな二人に向けられる羨望の眼差し。


オリヴィアは日に日に女としても魅力を増していく。


それは人の世では強すぎる力だが、本人がそんな事を知るはずもなかった。


だが知ったところでどうする事も出来ない。


知ればオリヴィアの悩みが増えるだけだろう。