† Lの呪縛 †

____……。



「んっ……ん~~っ」

「お嬢様、大丈夫でございますか?」

「だ、大丈夫……」



コルセットの紐をキュッと絞められることにまだ慣れていないオリヴィアは、毎回情けない声を漏らしてしまう。


その度にメイドは心配そうに声を掛ける。


空の様に澄んだ水色のドレス。


惜しみなく使われたレース、そしてワンポイントに付けられたリボンは、オリヴィアを余計に可愛らしく、可憐に演出している。


ソファーに腰かけているクレアは、どんどん着飾られていくオリヴィアの姿を嬉しそうに眺めている。



「オリヴィア、今気になる男性はいないの?」

「気になる男性? いないよ」

「あら、そうなの? てっきりシドに惹かれているのだと思っていたわ」



クレアの言葉にオリヴィアは苦笑いを浮かべた。


先日のノエルとの一件を思い出したからだ。



「シドの事は好きだよ。 でも、私にっとっては兄の様な存在なの。 これからもきっとこの気持ちは変わらないよ」



クレアは考えた。


オリヴィアがこの調子であれば、どうにかしてヴァネッサとエドガーを説得しなければ、と……。