† Lの呪縛 †

オリヴィアとシドがデッキに出ている頃、レッドフォード伯爵家とルーズヴェルト公爵家は丸いテーブルを囲み、皆でお茶をしていた。


盛り上がるテーブル。


だが盛り上がっているのは親たちだけで、子供たちは話しに耳を傾けているだけだ。



「シドとオリヴィアの事だがな……」



エドガーの言葉にノエルはピクリと眉を動かした。


それはアレンも同じだった。



「以前も言ったが、私はダグラスとクレアのお嬢さんなら大歓迎なんだが、どうだ? 当人たちも気が合うようだし、悪い話ではないだろう?」



ダグラスとクレアは顔を見合わせ、困り気味に笑った。


この話をされる事は分かっていた。


エドガーとヴァネッサが早くシドに結婚してほしいと思っているという事を、よく知っているからだ。



「そこまで言うならオリヴィアに聞いてみよう。 だが、オリヴィアがその気でなければこの話はここまでだ」

「そう頑なにならなくともいいだろう? シドがあれ程まで他人に心を許すなどこの機を逃せば一生ない……そんな気がするんだ。 オリヴィアが今はその気でなくとも、少しでもシドに好意を抱いてくれているのならば、私は話を纏めたい。 この件に関してはヴァネッサも私と同意見だ」