ノエルの部屋の前についたオリヴィアは少し息が上がっていた。


_コンコンコン。


…………。


返事はない。


オリヴィアはドアノブに手を掛けたが、扉を開けるのを止めた。


改めようと思い扉に背を向けると、ガチャッという音がした。


扉を開けたノエルは、オリヴィアを見るなり驚いた顔をした。


だが直ぐに目をそらし、口を開いた。



「何か用?」



ノエルの優しさに慣れていたオリヴィアにとって、今の冷たい態度はとても辛いものだった。



「私はノエルお兄様の事、大好きだよ」



予想だにしていなかった言葉に、ノエルは言葉を失った。


ノエルのオリヴィアに対しての好きと、オリヴィアのノエルに対する好きは違う。


ノエルはその事を理解しながらも、胸には嬉しさが広がっていく。


だがどんな顔をすればいいのか分からなかった。



「わざわざそんな事を言いに来たの?」



気持ちとは裏腹に素っ気ない態度をとってしまう。


まるで小さな子供の様だと、ノエルは自分自身に呆れてしまった。