† Lの呪縛 †

ベルは立ち上がり、窓を開けた。


外から勢いよく風が吹き込む。


ベルの髪の毛が靡き、花の様ないい香りが舞う。



「ここを出ようと思えば、出られたわ。 ただ、ここを逃げ出して一人きりで生きていく強い覚悟がなかったの。 私は臆病者だから……」



月明かりに照らされたベルの横顔。


化粧の施されていな顔は白く艶やかに輝き、美しい。


長いまつ毛は頬に影を落とし、揺れ動く。



「彼の存在こそが、あの男の思惑そのものだった」

「それでもお前は今でもその男を想っているのか?」

「ふふっ、いつまでも乙女ではいられないわ。 真実を知った時は泣いたし、彼を恨んだ時もあった。 ドロドロした感情に気が狂ってしまいそうだった……それでも私が壊れずに済んだのは、シャロンのおかげよ。 あの子がお腹の中にいたから、光を失わずに済んだ」



ベルは窓枠に頭を寄せ、空を見上げた。


お腹に手を当て口元を緩めた。


シャロンがお腹の中にいた頃を懐かしんでいる。



「シャロンはお前に側にいてもらうことを望んでいる」

「ヤダ、呆れた……あれほどあの子とは接触しないよう言っておいたのに、約束を破ったのね」

「言われてはいたが、約束をした覚えはない」

「偏屈悪魔」



ベルは困ったように笑ってはいたが、怒ってはいなかった。


ネヴィルはベルの笑った顔が好きだった。


その笑顔に悲しみや苦悩が滲んでいようと、美しいと思わずにはいられなかった。