† Lの呪縛 †

ベルの柔らかな表情からは想像もつかない程の決心が、瞳の奥に見える。


揺るがない強い想い。


その想いこそが悪魔であるネヴィルに力を与えている。


ネヴィルは薄暗い部屋の中を見渡した。



「普通は夫とベッドを共にするのではないのか?」

「……あの人とベッドを共にした事などないわ」



ここでネヴィルの頭にある疑問が浮かんだ。



「子供がいるだろう」

「……シャロンは私と夫との間に出来た子ではないの……ここで私のお世話をしてくれていた男性との間に出来た子よ」



そういうことか……と、ネヴィルは思った。


シャロンが父親から疎まれているのは、実の子ではないからだ。



「それでよく産ませたものだな」

「子供が早く欲しかったからでしょう。 でも、もしも男の子だったら殺されていたでしょうね」

「全ては家の為、か」

「私はランドール家の影の妻……あの人にとって私は人間以下なのよ。 愛して欲しいとも、愛したいとも思わないけれどね」



ランドール家当主には、ベルの他に正妻が居る。


名門貴族出身の礼儀作法をしっかりと叩き込まれた、温室育ちのご令嬢だ。


一方のベルは親の顔も知らず、養護施設で育った。


シャロンと同じくらいの年の頃にランドール家に引き取られた。


ランドール家に代々伝わる伝統を成す道具として。