† Lの呪縛 †

ネヴィルはその足で別の部屋を訪れた。



「まだ起きていたのか」

「えぇ、今日は月が綺麗だから……」



寝衣を纏い、窓際の椅子に腰掛ける貴婦人。


彼女もまた、シャロン同様金色の髪の毛をしている。



「貴方も良かったら掛けて?」

「…………」



誘われるがまま、貴婦人の前の椅子に腰を下ろした。


淡い月の明かりに照らされた貴婦人の横顔は儚い。


だが、美しかった。


シャロンと良く似ている。



「あと、何人残ってるの?」

「あと僅かだ」

「そう……良かった」

「本当にいいのか?」



ネヴィルの問いかけに驚きの表情を見せる貴婦人。


その表情が柔らかいものに変わると、ふっくらとした唇を動かした。



「ふふっ、まさか貴方にそんな事を言われるとは思わなかったわ。 いいのよ……これで……私にとってはこうする事があの子の幸せだと思ってる」

「ベル……お前の幸せは何だ」

「私の幸せ? そんなの決まってる。 愛する娘に幸福を……そして、私のような生贄が二度と生まれないようにする事……それが私の幸せよ」