† Lの呪縛 †

ーー数百年前、イギリス郊外。


一人の悪魔と一人の少女が出会った。



「ねぇ……」

「……何か用か?」

「貴方はお母様の魂を喰らってしまうの?」

「願いが叶えられた時、契約者の魂を喰らうのは当たり前の事だ」

「お母様の願いは何なの?」

「私の口からは何も言えない」



少女はジーッと悪魔を見つめた。


先に視線を逸らしたのは、悪魔の方だった。



「ランドール家の伝統だろう? お前も知っている筈だ」

「お前じゃないわ……シャロンよ。 貴方のお名前は?」

「……ネヴィル。 その気の強そうな瞳……母親とよく似ている」



シャロンはゆっくりと足を進め、ネヴィルの隣に腰掛けた。


部屋の中に射し込む月明かりに照らされ、シャロンの金色の髪の毛がキラキラと輝く。



「ねぇ、ネヴィル……またこうしてお話しできる?」

「私と話している事が暴露たら怒られるのでは?」

「それでも、またこうしてお話がしたいの」

「……気が向いたらお前の部屋に行くよ」



シャロンは嬉しそうに微笑み、ネヴィルの手を取った。


あまり表情を変える事のないネヴィルだが、目を見開き固まった。



「ありがとう」

「礼を言われる程の事ではない」



ネヴィルはシャロンの手を振り払うと、瞬時に姿を消した。