闇を纏い、光を弾く大きなカマを気怠く肩に掛け持ち直す。



「帰るぞ」

「はぁーいっ」



ヒューイはヒョイっと飛び起き伸びをした。


大きく息を吸い込み、地上の空気を味わった。


冥界では味わえない澄んだ空気。



「ネヴィル、またね」

「…………」



ヒューイは笑顔で手を振ると、兄と共に闇の中へと姿を消した。


二人の気配が無くなり、ネヴィルはやれやれとため息を吐いた。


元々誰かと関わる事を好まない性格の為、周りに誰かがいるだけで疲れてしまう。


その上面倒臭がりで、率先して人間の魂を喰らおうともしない。


最後に魂を食べた日の事を考えていた。



「シャロン……お前以上の魂には、きっともう出会う事は出来ないだろな……」



ネヴィルは昔を懐かしむ様な目をすると、フッと微笑んだ。


そして胸に手を当て目を閉じた。


何十年、何百年経とうと、シャロンの顔や仕草、声……何一つ忘れる事はなかった。