† Lの呪縛 †

小食堂でダグラスとオリヴィアはお茶を飲んでいた。


だがオリヴィアは浮かない顔をして、スプーンで紅茶を掻き混ぜているだけで、一行に飲む気配がない。


せっかくの楽しくて幸せだった気持ちが、今では萎んでいた。



「ノエルの事は気にしなくていい」

「でも……何か気に障る事をしてしまったのかもしれないわ……」



シュンっと肩を落としているオリヴィア。


ダグラスにも、オリヴィアの気持ちが分からないわけではない。



「疲れが溜まっていたんだろう。 それよりも、シドとは随分仲良くなったようだが、どんな話をしていたんだい?」

「たいした話はしてないよ?」



内心ギクリとしながらも、オリヴィアは平常心を装った。


ダグラスには隠し事などしたくなかったが、シドと約束をしてしまった為、言ってしまいたい気持ちをグッと堪えた。



「今年のクリスマスは一緒に過ごそうって話してたの。 勝手に約束してしまったけど、ダメだったかな?」

「そんな事はない。 それなら今年のクリスマスはルーズヴェルト公爵家と一緒に過ごす事にしようか? エドガーに相談してみよう」

「ありがとうっ! とっても嬉しいっ!!」



オリヴィアの溢れんばかりの笑顔は、ダグラスをホッとさせた。


今迄一緒に過ごしてきた中で一番の笑顔だ。