† Lの呪縛 †

家に帰り着いたオリヴィアは機嫌が良く、笑顔だった。


ノエルは口を開く事なく不機嫌な顔をしている。


上機嫌なオリヴィアはその事に気が付いていない。


ダグラスとクレアは、ノエルの不機嫌な様子にも理由にも気が付いていたが、あえて触れなかった。



「オリヴィア、酔い覚ましにお茶に付き合ってもらえないかな?」

「喜んでっ」



ダグラスの誘いに、オリヴィアは直ぐに返事をし頷いた。


ノエルが無言のままオリヴィアの横を通り過ぎる。



「ノエルお兄様は一緒じゃないの?」



ノエルはオリヴィアの声に一度立ち止まり、身体を少し後ろに向けた。



「僕は部屋に戻るよ」

「…………」



いつもの様に顔に笑みはなく、素っ気ない態度にオリヴィアは少し戸惑った。


ノエルに向けられた事のない表情と視線に悲しくなった。



「流石のノエルも疲れたのね。 早くお部屋でお休みなさい」

「…………」



ノエルは再びオリヴィアに背を向けた。



「ノエルお兄様っ、お休みなさい……」

「……お休み」



ノエルはオリヴィアの顔を見ずに答え、品やかな足取りで足を進めた。


ダグラスは困惑しているオリヴィアの肩を抱き寄せた。