† Lの呪縛 †

シドはスーッと視線を横にずらした。


不機嫌な顔をしたノエルがゆっくりと歩み寄る。



「オリー、俺の事はキースじゃなくて、これからはシドって呼んで欲しい」



シドの腕に包まれているオリヴィアは、ヒョコッと顔を上げた。


愛らしい上目遣いは、ノエルの怒りを増幅させる。



「呼んでみて?」

「シ、シド……」



恥ずかしそうに頬をほんのりピンク色に染めるオリヴィア。


シドは温かい眼差しを向けた。



「直ぐに慣れるよ」



シドはギュッとオリヴィアの身体を抱きしめ、オリヴィアの耳元で口を開いた。



「俺との関係は秘密だよ。 誰にも言わないって約束出来る?」



オリヴィアはコクコクと頷いた。


シドはオリヴィアの艶やかな髪の毛を撫で下ろした。



「いい子だね。 もっと話していたいけど、邪魔が入った」

「えっ?」



オリヴィアは意味が分からず、首を傾げた。



「オリヴィア、お父様たちが呼んでいるから行こう」



ノエルの声に、オリヴィアはハッとした様にシドから身体を離した。


目を泳がせ、あたふたしているオリヴィアの様子に、ノエルの嫉妬心が更にざわつき始める。