† Ｌの呪縛 †

夏の暑い日には、よく二人で川で水浴びをしていた。


びしょ濡れで家に帰る度、シャロンに怒られ、濡れた服を脱がされた。


兄代わりのシドがいつもオリヴィアの身体を拭いていた。


昔のことを思い出したオリヴィアは泣きそうな顔になり、窓の外へと目を向けた。


ガラス越しに見えるシドの顔に、落ち着かない気分になる。



「まだ信じられない？」

「…………」



オリヴィアは何も答えない。


今口を開けば、涙が溢れてしまいそうだった。



「そんな大昔の話、オリヴィアはもう忘れてしまったかな？」

「っ……」



シドの悲しそうな声に胸が痛んだ。


オリヴィアはシドと向き合い、シドの手を握りしめた。



「忘れるわけないっ……いつも傍に居てくれた。 いつも守ってくれた……っ、会いたかっ、た……っ」



シドは、今にもこぼれ落ちてしまいそうな程目に涙を溜めたオリヴィアを抱きしめた。


オリヴィアもシドの背に腕を回し、身体を委ねた。


オリヴィアの涙でシドのジャケットの色味が変わっていく。


村の人々から蔑まれ、虐められていたオリヴィア。


だがキースといる時だけは、村の子供達から虐められる事はなかった。


キースは喧嘩が強かったし、整った顔立ちから女の子からの人気もあった。