† Lの呪縛 †

オリヴィアとシドは見つめ合ったまま黙っている。


シドはとても穏やかな顔をしていて、オリヴィアはまだ半信半疑な顔をしている。


再びダンスホールに音楽が流れ、皆がダンスを踊り始めた。


優雅で上品な空間。


シドは痺れを切らしたかのようにオリヴィアに手を伸ばし、頬に触れた。



「本当にキースなの?」



オリヴィアの記憶の中にいるキースと、今目の前にいるシドは容姿が違いすぎていた。


記憶の中のキースも美しかったが、シドの様に鋭い感じではなく、温かみのある感じだった。


髪色も瞳の色も違う。


確かめる様に、オリヴィアもシドの頬に優しく触れた。



「三角形に並ぶ小さな黒子が三つ」

「っ!?」



オリヴィアの顔は一気に真っ赤になり、慌てて腰に手を当てた。



「あははははっ」



シドは声を我慢することなく笑った。


周りで様子を伺っている者たちは、シドの楽しそうな笑顔に面食らった。


その笑い声は、恥ずかしがるオリヴィアを更に恥ずかしくさせた。



「小さい頃はよく二人で水浴びしたよね。 その度にシャロンおばさんに怒られた」