† Lの呪縛 †

オリヴィアはもつれそうになる足を一生懸命動かしながらも、シドを見つめた。



「今年のクリスマスは久しぶりに一緒に過ごそう、“オリー”」

「っ……!?」



オリヴィアは驚きのあまり床に躓きバランスを崩してしまった。


シドはオリヴィアの身体を抱き寄せ、ホッと息を漏らした。


少し身体を離し見つめ合う二人。


オリヴィアの大きな瞳は揺れ動いている。



「シャロンおばさんの作るミートパイも好きだけど、見た目はいびつでも、オリーのミートパイの方が俺は好きだよ」

「っ、うそ……う、そ……だよ……」



頭に浮かんだ考えを消す様に、オリヴィアは頭を横に振った。


唇を震わせ、瞳は潤んでいる。



「どうして嘘だと思うんだい? 現に君はこうして何百年も生きていて、俺はオリーと出会う為に何度も姿形を変え蘇った……俺の本当の名を呼んで……オリー……」



オリヴィアはシドを見上げ、震える手で頬に触れた。


震える唇からは中々声が出てこない。


それでもシドは笑顔で待った。



「キー……ス……」



オリヴィアが名を口にした瞬間、シドがオリヴィアの身体を抱き上げた。