† Ｌの呪縛 †

怯え切っているジュリアンナは、その場を動く事が出来なかった。


自分を見下ろすネヴィルの顔を見上げている。


ダグラスは頬を緩め、口を開いた。



「それもいいかもしれないな。 私の怒りも少しは収まりそうだ」



ダグラスの言葉に反応したジュリアンナは、弾かれるように身体を仰け反らせた。


椅子は勢いよく後ろへ倒れ、同時にジュリアンナも床へ倒れ背中と頭を強く床にぶつける羽目になる。


痛みに顔を歪めるジュリアンナの頬に薄っすらと線が出来、血が滲む。



「おやおや、レディにそんな格好は似合わないよ」



ダグラスは優雅に立ち上がると、倒れているジュリアンナに歩み寄り、椅子を立たせた。


倒れたままでいるエリオットを一瞥し、再びソファーへと腰掛けた。



「娼婦を殺して楽しかったか？ まさかお前が今世を騒がせている“ジャックザリッパー”だったとはね……お前の行いを崇拝する者もいる様だが、私にはだだの茶番劇にしか思えんよ」

「兄さんは臆病だ！！ 私の様に直接手を下す事ができないから、こうして人を雇っているんだろう！？」



エリオットの馬鹿にした口調に、面白そうな笑みを零すダグラス。