† Lの呪縛 †

「それで……オリヴィアの身体について、本当は何が分かった」

「ほ、本当に何も分からなかったんだ!! あの子は普通のッ……」

「ネヴィル」

「ゔあぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!」



ネヴィルが投げたナイフがエリオットの脛に突き刺さった。


エリオットは涙を流し、もがいている。


そのうち椅子ごと床に倒れ、身体を震わせ痛みに苦しんだ。


その隣ではジュリアンナが恐怖に目を見開き、頭を小刻みに横に振っている。



「兄さんに私の気持ちが分かるわけがないッ!! 兄さんは何の努力もなしに将来を約束されていたんだからな!! 長男というだけでだ!! 私がどれほど苦労したのかもッ、惨めな気持ちだったかも知らないくせにッ!!」



声を荒げるエリオットを冷たく見下ろすダグラス。


優雅にソファーに座ったまま、動く気配はない。



「静かにしろ。 耳障りだ」



感情の籠っていないダグラスの言葉は、更に部屋中の空気を凍りつかせた。



「お前はどうしたい?」



ダグラスがネヴィルに問いかける。


するとネヴィルは静かに立ち上がり、ジュリアンナの前まで来て立ち止まった。



「か弱い者を痛ぶる趣味はないが、この怒りが収まるまで切り刻むのも悪くはない。 直ぐに死んでしまわぬ様、ジワジワとね……」



ネヴィルはナイフをジュリアンナの頬に当て、妖艶に微笑んだ。