† Lの呪縛 †

オリヴィアが振り返ると、いつもの場所に座っているヒューイが曇りのない笑みを向けた。


口ごもるオリヴィア。


心拍数が上がっていく。


ヒューイは手すりから降り、ゆっくりとオリヴィアに歩み寄った。


手すりに結び付けられた紐に触れ、苦笑いを浮かべた。



「これで下に降りるつもり?」

「…………」

「危ないよ」

「…………」



オリヴィアは下唇を噛み締め、俯いている。


スカートをギュッと握りしめて……。


ヒューイの手がオリヴィアの頬に触れ、オリヴィアの肩がビクッと反応する。



「僕が降ろしてあげるよ」

「え……?」



オリヴィアがゆっくり顔を上げると、ヒューイは微笑み頬を撫でた。



「怪我をしてほしくないからね」

「……何も聞かないの?」

「聞いてほしいの?」

「…………」

「そんな困った顔をさせたくないから何も聞かない。 オリーが嫌がる事はしないよ」

「……ありがとう」



オリヴィアは頬に触れているヒューイの手に自分の手を重ね、やんわり笑みを零した。



「抱き上げるよ?」

「うん」

「僕がいいって言うまで目を瞑っててね」



オリヴィアは頷くと目を閉じヒューイに身を委ねた。


ヒューイは優しくオリヴィアを抱き上げ、軽々飛び上がり手すりに足を掛けると、躊躇する事なく飛び降りた。