† Lの呪縛 †

ずっと嬉しそうな顔をして花の香りを楽しんでいるオリヴィアは、家族の後ろをついて歩いた。



「オリヴィアお嬢様、お花をお預かり致します」

「でも……」

「花瓶に生け終わりましたら直ぐにお部屋へお持ち致します」

「分かりました。 お願いします」



オリヴィアがメイドに花束を渡そうとした時、花束の中に紙の様な物が埋れているのに気が付いた。


取り出すと小さなメッセージカードだった。


メッセージカードの表には“オリヴィアへ”と書かれている。


オリヴィアはカードを抜き取った花束をメイドに渡した。



「どうしたんだい?」

「っ、どうもしないわ」



ノエルに声を掛けられ、オリヴィアは咄嗟にメッセージカードをポケットに忍ばせた。


何故だか分からないが、誰にも知られてはいけない気がした。



「私、部屋に戻るわね」



オリヴィアはそう言うと足早に部屋に戻って行った。



「疲れさせちゃったかしら?」

「そうかもしれないな。 元々人見知りだからね」



ダグラスはクレアの肩を抱き、足を進めた。


そしてクレアに気付かれない様、オリヴィアの居た場所に目を向けた。



「お父様?」



ダグラスは不思議そうな顔をするノエルに笑って見せた。



「お前も疲れただろう? 私たちも少しゆっくりするとしよう」