† Lの呪縛 †

二人を見送る為、オリヴィアたちも外へ出た。


エリオットは「あっ……」と小さく声を漏らし、馬車のドアを開き上半身を中へ入れた。


振り返ったエリオットの腕の中には、綺麗な花束があった。



「これを渡すのを忘れるところだった」



花束を差し出されたオリヴィアは、驚きに目をパチクリさせた。



「私にですか?」

「検査を頑張ったご褒美にと思ってね」



オリヴィアは花束を受け取り、嬉しそうに微笑んだ。


花束に鼻を近付けると、柔らかく心落ち着く香りが広がる。



「ありがとうございます」



オリヴィアは花束を大事そうに抱え、笑顔でお礼を言った。



「素敵なお花ね。 お部屋に飾りましょう」

「エリオット、私からも礼を言うよ。 ありがとう」

「気にしないでくれ、兄さん。 本の気持ちだから」



喜びに顔を緩ませているオリヴィアの頭を優しく撫でるノエル。


そんな二人を温かい目で見つめるダグラスとクレア。


心温まる様な家族風景を傍で見つめているエリオットは、笑みを零しながらも心の中は冷めていた。



「じゃあ、また近い内にお邪魔するよ」

「あぁ、気を付けてな」



皆が見ている中、エリオットとジュリアンなは馬車に乗りレッドフォード伯爵家を後にした。