† Lの呪縛 †

ロング・ギャラリーを歩くダグラスの表情は険しかった。


クレアの表情も優れない。


クレアが突然立ち止まり、ダグラスも足を止めた。



「……オリヴィアの事かしら?」

「…………」



クレアもダグラスと同じ事を考えていた。



もしもエリオットに、絶望的な事を言われたらと思うと、クレアは気が気ではなかった。


不安そうな瞳で見上げられ、ダグラスはクレアの頬を撫でた。



「何を知ろうと私達の思いは変わらない。 そうだろう?」

「えぇ、そうね……そうよね」



クレアは自分に言い聞かせる様に何度も小さく頷いた。


手にはグッと力が籠る。


組んでいる腕から、ダグラスにもクレアの緊張がひしひしと伝わる。


二人は再び足を進めた。


無言のまま、各々思いを抱え客間へと急いだ。


エリオットの待つ客間のドアの前で二人は立ち止まり、顔を見合わせた。


クレアが小さく顎を引くと、ダグラスはドアをノックしドアを開けた。


部屋の中を見て、二人は思わず動きを止め固まった。



「突然訪ねてすまない」



ダグラスはエリオットの言葉にハッとなった。



「いや、それはいいんだが……どういう事か説明してくれ」



ダグラスがエリオットの隣に遠慮がちに視線を向けると、エリオットは苦笑いを浮かべた。


クレアは目をパチクリさせている。



「取り敢えず座って話さない?」

「あぁ、それもそうだな」



ダグラスとクレアはエリオットと向かい合い席についた。


互いに様子を伺い、部屋の中は静まり返る。