† Lの呪縛 †

オリヴィアはティーカップを取り、紅茶を一口飲んだ。


ふとノエルと視線が絡み、ニコッと笑った。


オリヴィアの笑顔を見るたび、ノエルの心は高鳴る。


罪作りな笑顔を愛しく思いながらも、憎くも思う。


ーコンコンコン。



「何だ」



ダグラスが返事をするとメイドが部屋へ一歩入ってきた。



「失礼致します。 エリオット様がお見えでございます」

「エリオットが?」

「今日お約束してたの?」



クレアがそう訪ねると、ダグラスは腕を組み眉間に皺を寄せた。



「いや、約束はしていないはずだ」



ダグラスは、もしかしたらオリヴィアの検査のことで見落としがあったのかもしれないと思った。



「直ぐに行く」

「畏まりました」



メイドが部屋を出て行き、ダグラスはオリヴィアに微笑み、その後ノエルに視線を向けた。



「オリヴィアとここで待っていてくれ」

「僕も行くよ」

「約束もなしに来たんだ、たいした用ではないよ」



ダグラスはノエルが口を開く前に立ち上がり、クレアの手を取った。


何となく空気を察したノエルは口を開くのを諦め、大人しく両親が部屋を出るのを見送った。